売買契約

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不動産の売買は何百万円、何千万円という高額なお金が移動します。そのため、「契約」と「不動産とお金の交換」の時期が異なります。通常、契約から1カ月~3カ月して不動産とお金の交換になります。

契約後に「言った・言わない」にならないように契約書に条文が記載されておりますが、やはり不動産会社によってひとつひとつ異なります。そこで、契約書には多くの条件や特約などがついてきます。ここでは売り主にとって気をつけなければならない条項を、トラブルになりやすい順にご紹介します。

 

トラブルになりやすい条項

売買契約

 

1. 融資利用特約

融資利用特約は、住宅ローン特約と呼ばれることもあり、住宅ローンの審査が通らなかった際に売買契約を解除できる特約です。融資利用特約を結んでおくと契約解除に際して、手付金の返却はもちろん、解約金の支払い義務も発生しません。

住宅ローンを申し込む際に契約済みの売買契約書を金融機関に提出するので、買主は住宅ローンを組む前に売買契約を締結する必要があります。この特約がなければ、買主は住宅ローンが組めなかった場合でも、売買契約による代金全額の支払いをしなければなりません。

 

2. 契約不適合責任

契約不適合責任とは、売買契約や請負契約の履行において、引き渡された売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合、売主が買主に対して負う責任のことです。

 

3. 契約違反による解除

売主と買主のどちらかに債務不履行があった場合、相手方は自分の債務を履行した上で、相当な期間を定めて債務の履行を催促します。しかし、債務履行の催促に応じない場合には契約を解除できます。

また、債務を履行しなかった方に責めがある場合に限り違約金の請求はできますが、損害賠償などの請求はできません。すでに買主に所有権が移転されて引き渡し済の場合は、抹消登記をして物件の返還をおこなわなければなりません。

 

4. 手付解除

売主・買主には契約締結後の契約を解除する権利があります。

●売主は受領した手付金額の2倍の金額を買主に支払うことで解除できます
●買主は支払った手付金を放棄することにより解除ができます

なお、解除できる期間は、契約の履行に着手するまで、または契約書において定めた期日までとなります。

 

5. 引渡前の滅失・毀損

対象の不動産の売買契約から引き渡しをおこなう前に、買主と売主の責任ではない理由によって、対象の不動産が滅失・毀損したときのことを定めるものです。引き渡し前に滅失、建物がなくなってしまった場合、買主(又は売主)は契約を解除することができます。

毀損しても売主が補修して買主に引き渡すのが原則ですが、補修しても使用できないほどひどい場合や補修に多大なコストがかかる場合、売主は契約を解除することができます。引き渡し前の滅失・毀損により契約が解除となった場合、売主も買主も違約金などは発生せず、手付金も売主から買主へ返金されます。

 

6. 反社会的勢力の排除

平成16年から平成23年にかけて、全国の自治体において制定された「暴力団排除条例」に基づき、売買契約書に「反社会的勢力排除」に関する契約条項が加えられるようになりました。

売主または買主が契約条項に違反していた場合、契約は強制解除され、違反した当事者には違約金の支払いと制裁金の支払いも義務付けられています。一般的に違約金は売買代金の20%とし、制裁金は売買代金の80%とされています。